事業計画書
平成25年度在宅医療介護連携拠点事業の概要を受けて事業計画書を策定しました。
美馬市医師会連携拠点事業「事業計画書」
1.在宅医療・介護の提供に係る多職種連携上の課題
われわれの地域が抱えている地域特性を考慮しながら多職種連携上の課題について整理しました。
- (1)各医療施設ならびに介護施設は常時ほぼ満床の状態にあり、在宅療養中の患者さんが緊急を要する場合でも入院・入所が難しい状態となっている。そのため情報が施設ごと、職種ごと分散しており、多職種連携ができにくい状況となっている。
- (2)医療および介護の施設間の人的情報交換の場がほとんどなく、効率的な施設情報・患者情報の共有がなされていないため多職種連携が難しい。
- (3)地域住民は医療機関および介護機関が提供するサービス内容を十分理解できていないため、効果的な看護介護は多職種間連携により達成されることが理解できていない。
- (4)美馬市・つるぎ町は過疎が進み患家が点在し、山間地も多いため、さらに高齢化が進む中で独居老人や老々介護の家庭が多くなりつつある。効率的に医療介護サービスを行うには多職種連携をどう進めていくかによる。
- (5)共働きの家庭も多く、在宅での療養や介護は難しい場合、多職種連携による在宅サービスの可能性を検討するよりも安易に入院や入所を選んでしまう。
2.事業内容
連携上の課題を踏まえ、地域特性を考慮しながら本事業で取り組む事業内容を整理しました。
(1)多職種連携の課題・解決策の抽出
- ①医師会や市町・保健所でも各医療機関や各介護機関の機能や人的・設備的資源を完全に把握できていない。
- ②各機関との情報交換が不足しており、患者情報が不十分のため、多職種間で連携を行うのが難しく、適切なサービスを行うのが困難。
- ③多職種連携を行うための書類作成や連絡にかなりの労力が必要としている。
- ①医師会が中心になって医療・介護資源マップを作成し、各医療機関の機能等を把握できるようにする。
協議会参加機関が資源マップを持ち寄り、保健所・市町と共にとりまとめて協議会で共有する。
- ②地域ケア会議への医師会員の参加を促進する。
医師会が主導で在宅連携協議会や多職種連携会議を開催し、医師・看護師・ケアマネージャー・ヘルパー等の顔の見える関係を作る。
地域住民にも十分な理解ができるよう普及啓発や在宅医療に関する相談窓口を設置する。
- ③パソコンによる医師会のホームページ上での情報共有システムならびに情報端末を使ったクラウドでの情報共有システムを検討する。
多職種間で親睦を深め、医療従事者と介護従事者が一緒になって勉強を行う。
(2)多職種連携体制・24時間対応体制の整備
今後は、地域全体としての24時間対応体制の確保を目指し、地域の二次病院や各医療機関と連携体制を強化していく必要性があると考える。
そのため美馬東部消防署管内では成田病院を中心として、美馬西部消防署管内では行政区域を考慮して、永尾病院と今年度から美馬リハビリテーション病院を中心とした在宅医療ネットワークを構築するとともに、在宅患者の急変時に受入病床の確保のため協力医療機関と連携する。
なお、災害時等の対応のため消防署との連携も強化していきたい。
また、在宅診療を実施している診療所の支援ネットワークを検討する。
ICTを活用した連携の推進のため、西部ICTネットワークへの参加促進の呼びかけを行う。
各機関の情報を共有できるツールとして、ホームページならびに情報端末を利用したクラウド上での情報共有システムを検討し、公開する内容をID、パスワードで管理し、内容の詳細は、各施設の情報公開や各機関の課題等を書き込みできる機能を追加したり、空床状況、受け入れ出来る患者状態(医療処置、リハビリの有無、栄養経路内容等)などを考えている。
(3)地域住民への普及啓発
当地域は山間部に高齢者世帯が数多く点在しており、医療機関までに片道30分以上を用する世帯も少なくない。
また、在宅での療養を支援するにあたり、訪問診療や訪問看護の役割や介護保険のシステム等について十分に理解していない住民が多い。
そのため、在宅療養への受け入れができにくい状況で、施設にやむを得ず入所される方が非常に多い。
共働きしている家族も多く、在宅で療養したり、在宅で看取りをするというような感覚が全くない世代の人も少なくない。
そういう方たちへの普及啓発として、地域の医療機関・介護施設等と協力し、在宅医療やそれに従事する職種の機能や役割を広く地域住民に紹介する為、地域住民向けのフォーラムや講演会等の開催、パンフレット等の発行をして普及を図る。
フォーラムは年間を通して在宅医療介護について理解できる内容とし、訪問診療や訪問看護また訪問介護の役割だけでなく、実際の症例なども紹介して、在宅医療を身近なものと感じるように変えて行こうと考えている。
また講演会に関しては、医師・看護師だけでなく、ケアマネージャー、理学療法士、言語聴覚士、管理栄養士など多職種による内容にしていきたい。
(4)在宅医療に従事する人材の育成
地域の医療機関、介護施設と協力して、在宅医療従事者に対する研修会・講演会等の教育の場を年2回から3回ほど幅広く提供し、在宅医療スタッフへの意識啓発を図るとともに在宅医療に関わる人材の育成に積極的に関与していきたい。
そのために、保健所が開催する地域リーダー研修に医師会も積極的に協力して開催し、医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、管理栄養士等がそれぞれの専門知識を生かした、チームとして患者・家族への質の高い生活支援を目指す。
(5)在宅医療に関する相談窓口の設置
在宅連携協議会として、在宅医が見つからない患者に対して、医療マップ等を活用し在宅医を紹介する相談窓口を協力医療機関等に設置を行いたい。
しかし、在宅での療養を支援するにあたり、訪問診療や訪問看護、介護保険のシステム等について十分理解が出来ていない住民が非常に多いため、在宅での療養に十分な理解ができるよう普及啓発も併せて行わなければならないと考えている。
(6)その他の事業
- ①ホームページを利用した情報共有システムの構築
- ②消防署との連携強化
- ③音声告知放送および広報誌による情報の発信
美馬市医師会が在宅医療連携拠点事業を展開するにあたり、インターネットを使用して情報共有システムならびに情報端末を利用したクラウド上での情報共有システムを検討し、リアルタイムでの空床状況を把握することによって、消防との連携を強化し、スムーズな救急搬送システムの構築も考えている。
美馬市・つるぎ町から各家庭に支給され設置している音声告知放送や広報誌を利用し、講演会やフォーラムの開催、在宅医療に関する相談窓口設置などの情報を市民・町民へ発信する周知活動を行う予定にしている。