在宅医療・介護連携推進事業の概略
1. 在宅医療・介護連携の必要性について
美馬市・つるぎ町の高齢化社会の到来に今後の地域医療介護はどう対応するべきか人口の推移を考慮しながら、連携の在り方と課題について整理をしました。
(1)人口の推移
人口の推移を総務省のホームページより国全体、徳島県、美馬市、つるぎ町の人口推移をまとめると下記の内容になります。
①国民全体
2010年 | 構成比(%) | 2025年 予想 |
構成比(%) | 対2010年 変化率(%) |
||
---|---|---|---|---|---|---|
65歳未満 | 98,820千人 | 77.2 | 84,080千人 | 69.7 | 85.1 | |
65歳以上75歳未満 | 15,170千人 | 11.8 | 14,790千人 | 12.3 | 97.5 | |
75歳以上 | 14,070千人 | 11.0 | 21,790千人 | 18.1 | 154.9 | |
全人口 | 128,060千人 | 100.0 | 120,659千人 | 100.0 | 94.2 | |
②徳島県
2010年 | 構成比(%) | 2025年 予想 |
構成比(%) | 対2010年 変化率(%) |
||
---|---|---|---|---|---|---|
65歳未満 | 573,068人 | 73.0 | 440,382人 | 64.2 | 76.8 | |
65歳以上75歳未満 | 96,943人 | 12.3 | 99,941人 | 14.6 | 103.1 | |
75歳以上 | 115,480人 | 14.7 | 146,009人 | 21.3 | 126.4 | |
全人口 | 785,491人 | 100.0 | 686,332人 | 100.0 | 87.4 | |
③美馬市医師会管内
美馬市 | 2010年 | 構成比(%) | 2025年 予想 |
構成比(%) | 対2010年 変化率(%) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
65歳未満 | 22,124人 | 68.1 | 15,150人 | 58.2 | 68.5 | |
65歳以上75歳未満 | 4,117人 | 12.7 | 4,432人 | 17.0 | 107.7 | |
75歳以上 | 6,243人 | 19.2 | 6,444人 | 24.8 | 103.2 | |
全人口 | 32,484人 | 100.0 | 26,026人 | 100.0 | 80.1 | |
つるぎ町 | 2010年 | 構成比(%) | 2025年 予想 |
構成比(%) | 対2010年 変化率(%) |
|
65歳未満 | 6,303人 | 60.1 | 3,808人 | 52.4 | 60.4 | |
65歳以上75歳未満 | 1,607人 | 15.3 | 1.360人 | 18.7 | 84.6 | |
75歳以上 | 2,580人 | 24.6 | 2,098人 | 28.9 | 81.3 | |
全人口 | 10,490人 | 100.0 | 7,266人 | 100.0 | 69.3 | |
(2)人口の推移と地域包括ケアシステムの関係
高齢化社会が進みつつある状況の中で、多くの市民が自宅等住み慣れた環境での療養を望んでいることから、出来る限り住み慣れた地域で安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す必要がある。
そのためには「経済財政運営と改革基本方針」(平成25年6月)の中で「市町村が中心となって介護、医療、住まい、生活支援、予防にわたる支援が包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進める」と述べられているように地域包括ケアシステムの構築が重要となっている。
医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者を地域で支えていくためには、訪問診療等の医療の提供が不可欠となる。
在宅医療は、医師に加え、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリ関係職種等多くの職種によって提供される。これに介護関係職種を加えた多職種による協働、連携の体制を整えることが必要である。
地域包括ケアシステムの方向性は社会保障制度改革国民会議報告書(平成25年8月)を参考に今後の体制を整える必要がある。
「地域包括ケアシステムは、介護保険制度の枠内では完結しない。例えば、介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、訪問診療、訪問口腔ケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導などの在宅医療が、不可欠である。」
「これまで取り組んできた在宅医療連携拠点事業について、地域包括推進事業として制度化し、地域包括支援センターや委託を受けた地域医師会等が業務を実施することとすべきである。」
「地域包括ケアシステムの確立は医療・介護サービスの一体改革によって実現するという認識が基本となる。」
(3)地域の特性から連携上の課題について
①人口および介護認定者の現状と予想
2010実績(人口は2010年度総務省ホームページ、介護認定者は2013年8月の資料)
人口(人) | 65歳以上 (人) |
介護認定者 (人) |
65歳以上 対人口比(%) |
介護認定率 対65歳以上(%) |
介護認定率 対人口比(%) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
徳島県 | 785,491 | 212,423 | 47,273 | 27.0 | 22.3 | 6.02 |
美馬市 | 32,484 | 10,360 | 2,177 | 31.9 | 21.0 | 6.70 |
つるぎ町 | 10,490 | 4,187 | 979 | 39.9 | 23.4 | 9.33 |
2025予想
人口(人) | 65歳以上 (人) |
介護認定者 (人) |
65歳以上 対人口比(%) |
介護認定率 対65歳以上(%) |
介護認定率 対人口比(%) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
徳島県 | 686,332 | 245,950 | 72,555 | 35.8 | 29.5 | 10.6 |
美馬市 | 26,026 | 10,876 | 2,995 | 41.8 | 27.5 | 11.5 |
つるぎ町 | 7,266 | 3,458 | 964 | 47.6 | 27.9 | 13.3 |
注 2025年の人口予想に65歳以上の構成比の変化率を考慮し試算したものである。
②美馬市医師会管内の人口推移と介護認定者の推移(現状と予想)から問題点を整理すると
③人口推移と介護認定者の推移からの問題点より、医療介護資源が有効に連携することで地域の高齢化に対応することが大切である。また、在宅医療・介護の提供に係る多職種連携上の課題を整理し、事業計画書を策定しました。
2. 在宅医療・介護連携の進め方と活動実績
美馬市医師会管内の枠組みの決定
美馬市医師会管内は現在の市町と合併前の市町村、さらに管轄する消防署および警察の管轄から連携拠点事業と在宅医療ネットワーク構築支援事業の地区割りを以下のように定める。
現在 行政単位 |
合併前 行政単位 |
人口 | 医療連携 拠点事業 |
在宅医療ネットワーク 構築支援事業 |
警察管内 | 消防管内 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
美馬市 | 脇町 | 32,484 | 美馬市 医師会 |
東部 | 成田病院 | 脇町 警察署 |
美馬市 消防本部 |
穴吹町 | |||||||
木屋平村 | |||||||
美馬町 | 西部 | 永尾病院 | 貞光 警察署 |
美馬西部 消防組合 |
|||
つるぎ町 | 貞光町 | 10,490 | |||||
半田町 | |||||||
一宇村 |
活動経過
平成25年07月09日 多職種医療介護連携について
平成25年10月23日 在宅医療ネットワーク構築支援事業について
美馬市医師会の役員会で事業内容と枠組みの説明と同時に協力の要請
美馬市医師会在宅医療連携拠点事業推進要領を制定し、対象地域、連携拠点、協力医療機関等、事業目的、経費の支払等を定める。
活動経過
平成25年11月13日 多職種医療介護連携推進要領の制定について
徳島県、市町村その他医療介護等多職種の代表者の決定と
在宅医療推進協議会の設置
地域の人口推移の説明と医療・介護資源の有効利用による
地域の高齢化に対応することにつき、各職種間での問題点の整理
医師会のホームページで在宅医療連携拠点事業の内容等を紹介
計画の実施および進捗管理、評価、計画修正
次年度の予算確保
3. 在宅医療・介護連携推進事業の具体的な取り組みについて
在宅医療・介護連携の進め方に沿って事業計画を策定し、具体的な施策を作りました。
4. 今後に向けて
(1)現在各事業所ならびに行政単位で行っている多くの施策および課題を共有しながら、現状の医療介護資源で今後の高齢化にどう対処するべきであるのかを行政を含んだ多職種の連携で問題点と解決に向けて議論して実践して行くことが重要と思われる。
(2)また、在宅医療だけでなく美馬市在住の高齢者が健康に留意しながら、年齢を重ねていく施策についても幅広く議論し、具体化していくことが大切であると思われる。